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ブリザード・エンターテイメントが公式eスポーツリーグ『Overwatch League』の開催を発表、人気プロスポーツを参考にした運営を実施

Overwatch League

Blizzard Entertainmentがアメリカ・アナハイムで開催中の公式ファンイベント『BlizzCon』にて、eスポーツプロリーグ『Overwatch League』について発表しました。

Overwatch League (オーバーウォッチ リーグ)

『Overwatch League』は、プロフェッショナルなeスポーツの環境を整えることで、チームと選手が長年に渡り活躍し、ファンが生涯楽しむことができる世界一流のeスポーツリーグを目標として運営されていきます。

大会は、Blizzard Entertainmentのeスポーツ大会運営経験と、伝統的な人気スポーツの運営方法を参考として実施されていきます。

今回の発表に合わせて、リーグの公式サイト、トレーラームービーが公開されました。そちらと、海外サイトのインタビュー等から下記の内容が明らかになっています。

公式発表された主な内容

  • リーグに出場するのは、出場する各国の都市をベースとしたチーム
  • 初期は、アメリカ、ヨーロッパ、中国、韓国、アジア太平洋エリアのチームを中心都市、徐々に規模を拡大していく
  • チームオーナーシップ + 選手契約の仕組みを採用
  • レギュラーシーズン → プレーオフ 制度
  • 2017年初頭にメンバー募集を開始
  • 『Overwatch League』特設サイトで選手、リーグに関する最新情報、動画などが公開されていく
  • ライバルプレイ、オンライン大会、イベント、サードパーティ大会で実績を積んだ選手はリーグに招待される可能性がある

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インタビュー等で明らかになっている内容

  • 2017年秋までにスタート予定 (おそらくプレシーズン)
  • レギュラーシーズンは2018年開始予定
  • スプリング、サマーシーズンを経て8月にファイナルを実施
  • ファイナル以降は公式なオフシーズンとし、大会開催をサードパーティに開放

都市を基盤としたチーム運営

『Overwatch League』は伝統的なスポーツリーグのような仕組みを想定しており、各チームは各国のひとつの都市をベースに運営されていきます。

Overwatch esports のグローバルディレクターを務めるNate Nanzer氏はこのような仕組みを導入する理由について、「プロスポーツチームは金銭収入を生み出すことに地域に根付いた活動が関連しており、同様の仕組みを採用することでeスポーツチームも新たな収入を得る機会を得る扉を開くことになるだろうこと」コメントしていました。こちらは、ファンを獲得する、ということについても大きな影響をもたらすと思います。

チーム・選手の安定保証、チーム所属の仕組みについて

『Overwatch League』に出場するチームはその地位が保証されるとのこと。
おそらくチーム運営の金銭的なサポートなどが行なわれることになるのではないでしょうか。

メンバーの募集は2017年初頭に開始され、特に優れた選手はドキュメンタリ等が制作され多くのチームの目にとまるような取り組みが実施されます。チームは設定された契約締結期間に選手と交渉を行ない、チームのロスターを組み上げていきます。

各選手は、報酬や手当を含む契約をチームと交わして、オフラインで実施されるレギュラーシーズンに参加していきます。

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レギュラーシーズン・プレーオフ

レギュラーシーズンはオフラインにて実施され、上位チームがプレーオフに進出。
プレーオフもオフライン会場で行なわれ、優勝チームの決定戦が行なわれます。

大会の戦績や選手の情報は、『Overwatch League』の特設サイトを通じて、記事・動画などでキャッチアップされていくとのことです。

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賞金の有無についてはいまのところ明らかにされていません。
Blizzard EntertainmentでVice president of corporate operationsを務めるGio Hunt氏はインタビューにおいてこの点について、「サッカーのワールドカップやアメリカンフットボールのスーパーボウルはその賞金額で話題になっているわけではありません。誰もが選手達は手厚い報酬や補償を得ていること、勝利した選手達が高額なボーナス報酬を得ることを知っています。強調すべきはその額ではなくこの仕組みであり、『Overwatch League』がとっていくべきアプローチです」とインタビューで回答していました。

賞金がないというわけでは無いと思いますが、その額を大きく喧伝するつもりはない、ということでしょうか。

発表に関する個人的な考え

以下は、今回の発表をうけて個人的に気になる点について書いてみました。

リーグに参加するのはどのようなチーム? 既存チームとの関連性は?

リーグに出場するのがどのようなチームになるのかはわかりませんが、BlizzConには主要なプロゲームチームやスポーツチームのオーナーが招待され、本件について議論が行なわれているとのこと。すでに運営の実績や仕組みやがあるチームが何らかの形で参加していくことになるのではないでしょうか。

都市をベースにしたチームという前提がありますが、チーム名が「ロサンゼルス・レイカーズ」のような感じになっていくのか、既存のゲーミングチーム名のままで良いのかなどレギュレーションが気になるところ。

過去の取り組み事例
eスポーツの歴史においては、2007~2008年にアメリカのDirecTVがこのような地域型チーム+金銭サポートを採用した『Championship Gaming Series』を実施しており、既存のプロゲーミングチーム名と都市名ミックスの「Los Angeles Complexity」や、都市名を組み込んだ新設チーム「Stockholm Magnetik」などが出場していたことがあります。また、『CGS』はドラフトの仕組みを導入したりと既存スポーツを参考とした取り組みをしていましたが、当時は世界的に経済の状況が悪く突然の終了となってしまいました。

今後予想される課題は?

今回公開されたムービーにおいて、レギュラーシーズンはオフラインで実施されていくこと発表されました。日本だと、大会運用をどこが実施していくのか、そのような対決を行なっていく場所があるのか、何チームが出場出来るのかなど気になるところ。そもそも、アジアパシフィックエリアに日本が含まれているだけなので、このエリアがどのような運用で展開されるのかがわからないと何とも言えないですが…。

また、アマチュアからプロ選手となるゲーマーが多数登場することになるかと思いますが、プロとして相応しい選手としての考え方や振る舞いに関する教育の仕組みが用意されていくのか、それらの教育は所属チームに委ねられるのかなども興味深い点です。

日本におけるeスポーツ的取り組みの起爆剤となるか

「eスポーツ」を日本で普及させるにはどうしたらよいか、という話を色々な方とする機会があるのですが、「選手が活躍出来る場がある」「メデイアが取り上げる」「ファンが応援する」「新たな人がゲームのファンとなり、ゲームを始めやすい環境がある」ということがうまくサイクルしていく必要があると思っています。

これをまわすためには最終的に全てが必要になっていくと思うのですが、そもそもeスポーツはパブリッシャー・デベロッパーが協力的な姿勢を示していないと成り立ちません。
今回の『Overwatch League』はブリザードが支援をしながら主体となって長期的に安定した運用を行なっていくという仕組みなので、チーム・選手・スポンサー・ファンの全てがある程度の信頼をもって取り組んでいくことが出来るため、このサイクルが上手くまわっていく可能性があります。『Overwatch League』は日本における「eスポーツ」の本格的取り組み、普及の促進のきっかけにつながる起爆剤となっていく可能性は大いにあると思います。

現在、「eスポーツ」は世界においては有名人やプロスポーツチームによる買収や投資が連続的に行なわれる追い風ムードですし、ゲームに組み込まれたランクシステム等で新たな才能を発掘しやすいなど『Overwatch League』は日本はもちろん世界でもかなりの注目となっていくでしょう。

情報元

この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

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