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新たに株式会社Aimingのスポンサードを獲得したプロゲームチームDeToNator代表 江尻氏インタビュー

DeToNator代表 江尻氏

株式会社Aimingメインスポンサーとなった日本のプロゲームチーム Japan DeToNatorの代表を務める江尻氏にインタビューを行ないました。

プロゲームチームDeToNator代表 江尻氏インタビュー

4月某日、DeToNator代表の江尻氏より「東京にDeToNatorの活動拠点を設けたので、よろしければいらっしゃいませんか?」とお誘いいただき、新拠点にお邪魔してDeToNatorの新展開についてお話を聞かせていただきました。メールでの補足質問も行ないつつお話をまとめています。

※下記発言内でのスポンサー企業の敬称は省略しています

新しくDeToNatorの運営会社を設立され、さらに株式会社Aimingがチームのスポンサーになるという驚きの展開ですが、まず会社設立について教えていただけますか?

2015年4月より、より本格的なチーム展開を行なうために株式会社GamingDという会社を設立しました。
現在は「DeToNator」と「Galactic」という2チームの運営を基本としたマネジメント会社になります。

4月以降は、フルタイムでこの会社の仕事に取り組んでいます。

DeToNator 爆破チーム
DeToNator 爆破チーム

DeToNator 護衛チーム
DeToNator 護衛チーム

Galactic
Galactic

「GamingD」という名前には何か由来や意図するところがありますか?

「GamingD」の頭文字「G」は「Galactic」、最後の「D」は「DeToNator」から来ています。
「Galactic」には「星雲」というような意味があります。
「DeToNator」は「起爆装置」という意味です。

GamingDは、様々なゲームの才能を持つ星達が集まって、ゲーミング界に大爆発を起こすような起爆装置となりたいという意味を込めてネーミングしました。

チームのマネジメント以外にも何か事業展開はされていくのでしょうか?

いろいろな展開を考えているのですが、まずはチームのマネジメントを軸に、映像配信などの事業を行なっていきます。
コミュニティに貢献していくことが大切だと思っているので、今後、「DeToNator Cup」のようなチームブランドの大会を実施する計画があります。

自分たちがメディアとなり、大会の中継放送や選手達が出演する独自番組などを定期的に放送していきます。

これまでも動画配信の展開はしてきたのですが、さらに強化するためには専用スタジオのような場所が必要だと感じていました。今回のオフィスにはそのためのスタジオとして役割も考えています。

これまでに、DeToNatorの選手達は自分がプレーしているゲームタイトル以外の番組等にも出演されていますね。

チームには4つのゲーム部門を持つようになるのですが、選手たちにはこれらのゲーム以外についても様々な出演オファーが来ています。
PCゲーム人口を増やすためにをより多くの人に知っていただきプレーしてもらえるようにしたいという思いがありますので、様々なゲームのPRなどに協力していきたいと考えています。

もちろん、メインは取り組んでいるゲームタイトルになるので、マネジメントをしっかりしながら新たな展開を進めていきます。

ここにはゲーミングPCが5台設置されている部屋もありますね。これはどのような使い方をされていくのでしょうか?

このゲーミングルームはいままでにやりたいと思っていたことを実現するために作りたかった物なんです。

現状では、選手達がフルタイムで泊まり込んで練習を行なうということはまだ時期尚早だと感じているので、そのような用途にはなりません。もちろん、実績や環境が整えばそういうことになってくると思いますので、まずはその準備段階という感じです。

ゲーミングルーム

東京近辺で大会がある時に選手達が集まってオフライン大会に向けて調整を行なったりしますし、ここを使ったイベントや、PCが低スペックのメンバーが利用したり、短期間の合宿など単純にゲーマー達が集まって遊んだりなど色々な使い方をするつもりです。

株式会社Aimingがスポンサーになるということですが、どういう経緯でこのような展開が実現したでしょうか? Aimingはスマートフォンゲーム等の企画や開発をする上場企業ですよね。

友人のツテで競技ゲーミングやeスポーツに興味を持っている企業様がいるという話をいただいて、Aiming代表の椎葉さんとお会いしました。

そこで今の競技ゲーミングシーンやDeToNatorのことをお話したのですが、チームの活動方針や展開に非常に共感していただき、何か一緒に出来ることはないかという話になりました。

Aimingも競技ゲームのシーン等で様々な展開を計画されているということで、ゼロからチームを作るよりも共に手を取り合う形で、ということでDeToNatorをスポンサードしていただけることにました。Aimingによるスポンサードを実現できたことで、DeToNatorのさらに新たなステップを踏み出せることになります。

Aimingがチームのスポンサーとなったことで、今後のDeToNatorはどうなっていくのでしょうか?

DeToNatorは「日本から世界へ」をチームの目標として掲げています。

これまではFPSの「Alliance of Valiant Arms」を中心に日本から世界に挑戦してきましたが、Aimingの支援によってさらに世界に挑むための材料が揃いました。より、世界にチャレンジすることを強化していく計画です。

昨年末くらいから新たに「Counter-Strike: Global Offensive」「Dota 2」「League of Legends」といった、グローバルなタイトルの準備をしてきたのもその一巻です。

今回のスポンサードによって所属選手に「セカンドキャリア」を提供しやすくなったのが非常に大きいと思っています。

「セカンドキャリア」の提供とは具体的にどういうことですか?

Aimingは経営陣がゲームをバックグラウンドに持つ関係もあり、ゲームを本当に好きだったり、ゲームでの実績や才能を持つ人を積極的に採用するゲーオタ採用という制度を設けています。

DeToNatorでの活動中や活動後でも社会人として通用し、何かしらの実績や才能が認められればそういった形でAimingでの雇用の機会を得られる仕組みを用意することが出来ました。

推薦枠というような感じで選手達が雇用の機会を得られる?

会社の採用方針や各選手の意志もあるので必ずというわけではないですが、チームとしても信頼できる人物であるという推薦もしていきます。

選手がゲームでの本格的な活動を終えた時に、ただゲームが上手いだけで常識が何も無いような人間にはなってほしくないと思っているので、チーム活動を通じて常識や社会の仕組みを学んでもらって、一社会人としても通用するように選手を育てています。

僕は本格的にゲーミング活動をして、それが終わった時のセカンドキャリアというものが本当に大切だと思っています。

現役のプレーヤーとして活動出来る時間は長い人生の中で数年ほどになりますよね。
プレーヤーとして培った経験、知識を、今後の人生でも活かして欲しい。

僕は会社もやっていますので、そのツテなどからゲーム以外の仕事でも支援することは可能です。僕が新たに始めた会社GamingDのスタッフとして活躍してもらうということもあり得ることです。

実際に、チームで活躍してくれた選手の数人は、実績や人間性を買われて他のゲーム系企業等で素晴らしい活躍をしてくれています。

DeToNatorはゲームで勝つことだけが目的では無く、社会人としても一人前になれるような育成に力を入れていると。比較的時間が自由になりやすい若い時期に時間を費やしてゲームに真剣に取り組むというのは夢があることで、憧れがある人も多いと思います。ただ、その結果としてゲームが上手くなっただけでやめたら何も残らなかったというのは怖いので何かしら活動を通じた将来の保証があるのは良いですね。

僕はゲーミングチームが人材育成機関として認めてもらえたと思っています。

ゲームチームを通じて礼儀や社会の仕組みを学んでもらって、現役を終えたときに一社会人として通用する存在になってもらいたい。そのために色々なサポートや相談に乗っていきます。

海外のように、試合で勝つことを最大の目的として、1日の大半をゲームの練習だけに費やすというのもそれは正しい選択だとは思います。
僕は「今の時点で必要な事」と「未来で必要な事」は別だと思っているんですね。
今のDeToNatorのメンバーに必要なのは、ちゃんとリアルをこなしながらゲームをして実績を残していくこと。

リアルのことがしっかりと出来ない選手は、どこへ行っても何をやっても出来ないので、まずはどちらも両立できるようにしていく。

その上で実績を残していけば、将来的にさらなる環境というのは必ず付いてくると思います。

DeToNator

Aimingには「セカンドキャリア」以外の部分ではどのようなサポートをしていただくのですか?

契約の都合で全てのことをお伝え出来ないのですが、海外大会等に遠征に行く際の活動費用サポートなども含まれています。

Aimingがスポンサードしていくことでチーム名が変わったりということは? 海外だとスポンサー企業名とチーム名をミックスしたような名称を見かける機会が増えています。

チーム名は「DeToNator」として継続していきます。
名前に文字を多く使えるゲームでは、スポンサー名を入れるようなことはしていくつもりです。

Aimingはメインスポンサーという位置づけになるのでしょうか?

そうなります。
いままではパソコン周辺機器の企業様がスポンサードしてチームを支援していただいたのですが、Aimingはゲームのパブリッシャー・開発会社ということで違った側面から勢いをもって新たな展開が進められています。

Aimingは中国等のアジアでも企業活動をされているので、例えば『League of Legends』を展開するRiot Gamesの親会社Tencentと関わりがあったりと、グローバルな情報をお持ちだったり、ゲーマーが多数集まった会社ということで理解力があったり、競技ゲーミングの世界に対する知識等も豊富な会社さんで、非常に心強い存在ですね。

いつくらいからスポンサードに向けた話合いをしていたのですか?

2014年末くらいからですね。
チームの状況や今後の展開、お互いに協力したら何が出来るかということを何度もお話しして今回のスポンサードが実現しました。

個人的にも気になるところですが、江尻さんがプロゲームチームの運営者としてどのようなことをされているのか興味ある人が多いのではないかと思います。可能な限りで教えていただけないでしょうか?

まずは選手のマネジメントですね。大会に向けた支援や、さまざまなオファーに対する調整、報酬の支払い管理などです。

その他には、スポンサー様とのやりとりですね。今後のチーム活動プランの提示、製品プロモーションの計画、実績や活動の報告など。

Web、SNS、動画配信などを通じた情報発信。こちらはWeb、動画、画像素材、テキストなど様々な素材が必要となりますので、色々なクリエイターの方に制作をお願いしてその管理なども行なっています。

Web

あとは新たなスポンサー獲得の営業や、競技シーンのトレンド調査、新たな選手の獲得に向けたリサーチなど多岐に渡っています。

今のところ全てを私がやっているので、そろそろ自分の右腕、左腕となってくれる人材も探さないといけないですね。

江尻さんがチームを運営する上で参考にしているプロチームなどはあるのでしょうか?

FnaticNinjas in Pyjamasですね。それぞれ、チームの色を出した運営をされていて、Fnaticは組織作りが非常に素晴らしいと思っていて参考にしています。

Ninjas in Pyjamasは、早い段階からマーケティング会社と提携して様々なプロモーション展開を行なったりと、多角的な展開が勉強になりますね。

FnaticのChief Operation OfficerのcArn氏には色々なアドバイスをいただきました。いつか一緒に何かさせていただけるよう、チームとして実績を積み重ねていきたいと思います。

cArn & maxjam
※2014年の東京ゲームショウにてcArn氏と江尻氏。関連記事は以下。

これからDeToNatorやGalacticに加入して活動したいというプレーヤーに期待することはなんでしょうか?

チームに加入して、その中で自分が何をしていくかということを意識してほしいですね。

DeToNatorやGalacticに入ったから上手くなれる、優勝出来るということではないんですね。
優秀な選手達が在籍しているので、彼らを押しのけてレギュラーを勝ち取るにはどうしたらいいのか、チームやスポンサーに貢献したり、自分のキャリアを強化するには何をするべきなのかということを考えられるような選手になって欲しいです。

最初からそのような考え方を持っている人はなかなかいませんので、チームでの活動をして学んでもらえるよう協力をしています。

賞金総額約1,000万円の世界大会『AVA WORLD CHAMPIONSHIP』の開催が発表されました。『AVARST2015 Season1』は爆破が5位、護衛が3位という結果になりましたが、今後に向けてどう取り組んでいきますか?

今、まさにそこにをどうするかが問題の一つです。メンバーの入れ替わりの時期でしたのですでに今後を見越しての補強をしております。現メンバーの更なるスキルアップと新加入メンバーとの連携がどこまで仕上がるかが重要になりますね。

爆破は1年半ほど負けていなかったので今回の負けがDeToNatorが変化するタイミングにもなりました。想定の範囲内ですが、やはりメンバーが変わる事での不安もあるのですが、それ以上に期待できるメンバー構成になっていくので楽しみです。

DeToNator

最後にコメントなどいただけたらと思います。

とにかくPCゲームを盛り上げていくことが使命と思っています。PCゲームの素晴らしさ、ゲーミングチームの価値など、まだまだ市民権を得ている訳ではないのでそこはコツコツやっていくしかないです。2015年は、世界へ少しでも近づけるようにいろいろな事を計画していますのでコツコツだけではなく一気に動くこともあると思います。

ゲーミングチームの良いお手本となり、日本でゲーミングチームが増えていくことを心から願っています。

―――――

今回のスポンサードによって、選手が活動を終えた時に単なるゲームが上手かった人、で終わらないような仕組み作りが出来たのはチームや選手にとって心強いのではないでしょうか。

「DeToNator」の選手は、大会会場で他部門の選手とすれちがった時などにお互いに「おつかれさまです!」と声を掛け合っていたりとメンバー間でも礼儀がしっかりしているなと思わされる場面を目にしたことがあります。

「Counter-Strike: Global Offensive」については今後の設立はほぼ確定的な状況とのことで、どのようなメンバーが今後加入する事になるのか非常に楽しみです。

参考

この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

https://twitter.com/YossyFPS/
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