東京・新橋の電通本社にて行なわれた『日本eスポーツ協会設立準備委員会 2009 年度中間報告会』に参加してきました。
報告会は、司会進行を犬飼博士 氏、報告をJESPA委員長補佐の平方彰 氏が行なう形で進められました。
報告会で使われた資料及びメモを以下に掲載いたします。
尚、資料には一部転載不可となっている項目があり、そちらについては掲載を見合わせています(内容的に現段階では公開できないもの、肖像権に関する物など)。
メモ書きについては、途中でノートPCのバッテリが無くなってしまったため記憶及び簡易な手書きメモを元にしているので、発言者そのままの言葉でなくこちらで一部補足・改変している部分があります。
あらかじめご了承ください。
また、補足として過去記事へのリンクを追加してあります。
日本 eスポーツ協会設立準備委員会 2009 年度中間報告会 2009年7月4日
中間報告会の趣旨
2007 年 6 月 30 日、日本 eスポーツ協会設立準備委員会(JESPA)を立ち上げて 2 年以上が経過いたしました。
JESPA は日本唯一の eスポーツ競技統括団体として活動を行なっておりますが、これまでにその活動内容をご説明する場がなく、競技者の皆様から
- JESPA は何をしているのか?
- 何をもたついているの?
などの声をいただいております。
本日は、それらの声に 2009 年度中間報告会という形でお答えさせていただきます。
JESPA の概要 OGC 2008 での発表より
オンラインゲーム & コミュニティサービスカンファレンス(OGC)とは有限責任中間法人ブロードバンド推進協議会の主催で毎年 1 回開催される。
※ JESPA は 2008 年 3 月 14 日に開催された OGC2008 にて「eスポーツの振興の意義と取り組み」と題して講演。
JESPA の理想
- eスポーツ専用の共通企画としてのゲームタイトル = ゼネラルルールの確立
- 各ゲームメーカー、ソフト開発者の理解を得る
- ライブで行なうイベントの開催
- 世界大会、中高生の部活を延長とした大会の開催と後援
- Internatinal Federation(国際連盟の設立)
- 日本から世界に向けて発信する
JESPA の義務
- 日本 eスポーツ協会設立準備委員会の財団法人化
- 2008 年度内の設立を目指し、組織体制を盤石なものとする
- 日本全国規模の大会の開催
- 日本選手権、世界大会選考大会を実施し、実績を作る
- パートナー、サプライヤーの募集/個人会員募集
- 協会の財源を確保する
- 現行の eスポーツと未来の eスポーツの融合
- スポーツタイトル以外のタイトルの調整
- これまで eスポーツを支えてきたプレイヤーとの協力体制
- 各国との調整/交渉
- 韓国、及びその他アジア所得との連携
- eスポーツ先進国との連携
[メモ]
JESPA委員長の西村氏は、スポーツタイトルを採用したらわかりやすいのではないかという意見。
現在定番となるeスポーツタイトルを無視するわけではなく、現行の競技者にプラスして新たな競技者を獲得していくための方法の一案。
現在、eスポーツという意識を持たずにゲームをプレーしているプレーヤー達にeスポーツを広めていく。
また、既存タイトルにとらわれず新しいタイトルについては検討して採用していく。
いい物は取り入れていく方針。
参考例として陸上競技に新たな競技や女性部門が次々と追加されていくといったものが挙げられた。
2007 年度の活動一覧
2007 年度
- 6 月 30 日 日本 eスポーツ協会設立準備委員会(Japan e-Sports Association / JESPA)発足
- 8 月 11 日 International e-Sports Symposium 2007 に出席
- 9 月 20 ~ 23 日 東京ゲームショウ 2007 ブース出展
- 11 月 15 日 JESPA 公式サイトオープン
- 11 月 23 日 JESPA 発足記念イベント”eスポーツ日韓戦”記者発表
- 12 月 1 日 eスポーツ日韓戦を実施
2008 年度の活動一覧
2008 年度
- 3 月 14 日 オンラインゲーム & コミュニティカンファレンス 2008 に登壇
- 7 月 1 日 Electronic Sports World Cup 2008 (ESWC2008)日本予選を JESPA 公式イベントに認定
- 7 月 26 日 ESWC2008 日本予選を実施
- 8 月 10 日 International e-Sports Symposium 2008 に登壇
- 8 月 25 ~ 27 日 ESWC 2008 グランドファイナルに eスポーツ日本代表選手を派遣
- 9 月 24 日 World Cyber Games 2008(WCG2008)日本予選を JESPA 公式イベントに認定
- 10 月 9 日 東京ゲームショウ 2008 ブース出展~ 12 日
- 10 月 23 ~ 26 日 WCG2008 日本予選を実施
- 11 月 5 日~ 29 日 WCG2008 世界決勝戦に eスポーツ日本代表選手を派遣
- 11 月 8 日 International E-sports Festival 2008(IEF 2008)日本代表選考会への協力決定
2009 年度の活動と今後の予定目標
2009 年度
- 1 月~ 4 月 経済産業省のスポーツに関する調査に協力
- 6 月 14 日 オール早稲田 eスポーツ選手権 JESPA 公式イベントに認定
- 7 月 4 日 JESPA 中間報告の開催を実施
JESPA 今後の予定と目標
- 全日本 eスポーツ選手権の開催(予定)
- 第 2 回 eスポーツ日韓戦の開催(予定)
- 第 3 回アジア室内競技大会への eスポーツ日本代表選手の派遣
eスポーツ専用の共通規格としてのゲームタイトル = ゼネラルルールの確立
International e-Sports Symposium 2008 にて eスポーツを国際的に統括する国際連盟(IF)の必要性を提案(2008 年 8 月)
- 参加各国の賛同を得られ、理想は間違っていないと確信を得る
経済産業省に共通企画としてのゲームタイトルの開発を提案
- 世界に向けて産業化するべきではないか
- アメリカオリンピック委員会(USOC)の会長に、Electronic Arts 社 元会長のラリー・プロブスト氏が就任したことを受け、日本も手を打つべきではないかと提案
[メモ]
2016年の開催候補として万が一、東京が落選してしまいシカゴに決定した場合、ラリー・プロブスト氏が就任したことによりエキシビジョン等でeスポーツが採用される可能性があるかもしれない。
これに向けて国策レベルでの準備を経済産業省に提案してみたところ、現状では厳しいという判断。
指導はできないが協力はしていく。
ライブで行なうイベントの開催 世界大会、中高生の部活を延長とした大会の開催
■ eスポーツ日韓戦を実施
- 開催日 : 2007 年 12 月 1 日
- 主催 : 日本 eスポーツ協会設立準備委員会
- 共催 : 韓国 eスポーツ協会
- 会場 : お台場メディアージュ
- 競技 :
- フリスタ!-Street Basketball-(PC)
- ワールドサッカーウイニングイレブン 2008(PS3)
- エキシビジョンマッチ 1 Starcraft(PC)
- 鉄拳 5 DARK RESURRECTION ONLINE(PS3)
- エキシビジョンマッチ 2 武蔵丸 VS ジョニー黒木
■ eスポーツ国際大会 ESWC2008
ESWC2008 日本予選を JESPA 公認イベントとして実施
- 日本予選の開催を全面的にサポート
- 日本代表チームを選出『Counter-Strike 1.6』男性部門チーム”Speeder(スピーダー)”(5 人)
- 世界決勝戦に選手を派遣
- ESWC2008 決勝大会への渡航費、移動費、宿泊費など、全面的にバックアップサポート
WCG2008 日本予選を JESPA 公認イベントとして実施
- 日本予選の開催をサポート
- 日本代表チームを選出
- 世界決勝に選手を派遣
- 世界決勝にて日本選手メダル獲得 世界 74 ヶ国の強豪を退け総合成績での世界 5 位を獲得
- Virtua Fighter 5 Live Arena5: 金メダル 板橋ザンギエフ選手
- RED STONE:
- 銀メダル チーム HappysweetsB(ポッキー選手、チョコバナナ選手)
- 同メダル チーム HappysweetsA(プリン選手、ストロベリー選手)
■オール早稲田 eスポーツ選手権を公認
- 日時 : 2009 年 6 月 14 日(日)11:00 ~ 19:00
- 場所 : 早稲田大学東伏見キャンパス 75
- 2 棟 207 教室
- 競技種目
- (1)FIFA09 ワールドクラスサッカー
- (2)Need for Speed:Pro Street
- ※ 2 種目とも PlayStation3
- 出場選手 : 早稲田大学在学生 選手 8 名× 2 種目
- 形式 : トーナメント製による勝ち抜き方式
- 主催 :
- Waseda Sports Bridge
- 早稲田大学スポーツ科学学術院・原田宗彦ゼミ
- 協賛 :
- 西武鉄道株式会社
- アディダス・ジャパン株式会社
- ぴあ株式会社
- 後援
- 日本 eスポーツ学会(7 月設立予定)
- エレクトロニック・アーツ株式会社
[メモ]
今回が一般大会の公認第1弾。
今後は規定を設けてJESPAの公認、後援大会などを開催してもらえたらよいのではないかと考えている。
開催側のメリットとして大会のステータス向上、告知の手助けなどが考えられる。
■全日本 eスポーツ選手権を予定
2008 年度中に、JESPA 主催で開催を予定していた、日本初となる全国規模の eスポーツ競技会に関し、競技種目の決定が困難であったことと、おりしもの経済危機の名か、運営資金の確保が出来ず延期
2009 年度中の開催を目標に検討中
- 前回同様、eスポーツ先進国である韓国の統括団体 KeSPA と協力し、2009 年度中の開催を検討中
- 韓国と日本で毎回予算を含めて持ち回りの開催を検討中
- 本年 10 月に韓国で開催したいと KeSPA からの要望
- 競技種目候補(KeSPA の提案)
- ウイニングイレブン
- スタークラフト
- 鉄拳シリーズ
- Counter-Strike1.6
- Warcraft3
- 競技種目候補(KeSPA の提案)
- 日本からも競技種目を提案予定
- 選手派遣予算をどう確保するのか検討中
- 日本国内での予選会を検討中
[メモ]
競技タイトルについては、日本からも提案していく。
意見交換会では、参加者にタイトルについての希望などが聞かれた。
後述参照。
また、日本代表の国内移動費及び予選の予算獲得については今後の課題。
その他のイベントの紹介
■アジア室内競技大会
- アジアオリンピック評議会(OCA)が 2 年に一度開催
- エアロビクス、フットサル、ムエタイ、水泳、チェスなどの種目があり、日本オリンピック委員会(JOC)が日本選手を派遣
- 2007 年のマカオ大会で、初めて eスポーツが正式種目に採用された。日本は eスポーツの統括団体がなかったため選手の派遣ができず、これをきっかけに JESPA を設立
- 第 3 回アジア室内競技大会が 2009 年 10 月ベトナムのハノイで開催
- eスポーツの採用が決定
- JESPA は、日本選手の派遣を目指し、JOC と交渉中
■ FIFA INTERACTIVE WORLD CUP
- 種目 : 2009 年発売の FIFA2010
- 概要
- 決勝 : 2010 年春開催予定 バルセロナ・スペイン
- 賞金 : 優勝 USD20,00+ 自動車等
- 参加国数 : 179 国
- 参加人数 : オンライン予選を含め 320,000 人
- 備考 : 2004 年より毎年開催
[メモ]
日本代表選手の派遣を目指しているが、一番の問題点はアジア連盟がないこと。
JOCの内規によりこれがない大会には日本代表として選手を派遣できないらしい。
ここが現在、一番の問題点となっているが、なんとかして代表を派遣したいと考えている。
International e-Sports Federation(国際連盟)の設立
KeSPA(韓国 eスポーツ協会)と、韓国ゲーム産業振興院(KOGIA)が先導し、国際 eスポーツ連盟(IeSF)を設立
加盟国
- 韓国
- オーストリア
- オランダ
- スイス
- 台湾
- デンマーク
- ドイツ
- ベトナム
- ベルギー
オブサーバー
- 日本
- 中国
- イギリス
[メモ]
IeSFと契約しなかった理由は、おおむね以下の2点が懸念事項のため
- お金 (加盟金、運営費用、その他雑費など)
- 組織の体制(運営指針等がまだしっかりしていない)
これらがクリアされ次第、連盟に加入するつもり。
韓国からは日本も加盟して欲しいとラブコールを送られている。
日本 eスポーツ協会設立準備委員会の財団法人化
- 財団法人かとしての法人化を目指す
- 2008 年末まで公益法人制度改革が行なわれており、改革完了に伴い法人化の手順が明確化
- 定款の作成
- 基本財源の確保
- 日本各地に支部・連盟の組織化
- その他団体、連盟との協力活動
- IeSF との向き合い
- KeSPA との連携
- 日本 eスポーツ学会の発足(7 月発足予定)
- JOC への加盟を目指し、現在交渉中
- その他
- サンプラザ中野くん氏が会長となり eスポーツ北海道を設立
- 経済産業省、社会法人スポーツ健康産業団体連合会のスポーツに関する調査事業への協力
[メモ]
JOCから出されている、JOC加盟の条件。
- 唯一の統括団体であること
- 世界大会に日本代表を派遣した実績があること
- 日本選手権を開催すること
2~3つ目は ESWC、WCG でとりあえずクリア?
パートナー、サプライヤーの募集/個人会員募集
転載不可
[メモ]
個人的に一番気になっていたのがこの項目。
残念ながら、転載不可となっていたので掲載は出来ず。
オフィシャルレポートの方で触れられるかもしれません。
個人会員数及び入金額の報告、また、ラストには JESPAの支出総額などが発表されました。その内訳については未発表。
スポーツタイトル以外のタイトルの調整
これまで eスポーツを支えてきたプレイヤーとの協力体制
- 鉄拳 5 DARK RESURRECTION ONLINE (eスポーツ日韓戦)
- Starcraft Blood war (eスポーツ日韓戦)
- Counter
- Strike1.6 (ESWC2008、IEF2008)
- Age of Empires III: The Asian Dynasties (WCG2008)
- バーチャファイター 5 Live Arena (WCG2008)
- RED STONE (WCG2008)
未来は
例えばテトリス等の幅広いファンをもつ種目を選定していきたい
↓
専用種目(タイトル)も開発し、もっと多くの競技者を集めたい
↓
アスリートゲーマーの誕生
商標登録に関して
転載不可
[メモ]
こちらも転載不可でした。
TV 放送
- ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)
- スーパー J チャンネル(テレビ朝日)
- アジアクロスロード(NHK)
- Road to ESWC(スカパー)
意見交換会
前述の通り、省略・改変しての掲載です。
実際は敬語でやりとりされていますが、メモから転載ということでご了承ください。
質問 : JESPA 公認タイトルを発表してはどうでしょうか?
回答 : 公認タイトルについては、ゲームの著作権や肖像権がクリアになるものを採用していきたい。
例えば、協会がメーカーから認可を受け個人の大会主催者に公認を与えた場合に、サブライセンス権を侵害する可能性が考えられる(ライセンス元は JESPA には OK をしたが、その下の大会運営元には許可していない、というような問題)。
また、スポンサーの意向により競技に影響が出るタイトルではなく、普遍的なタイトルを採用するのが望ましいと考えている。
大会について協賛ではなく認定としてお金を出してもらえないかということをメーカーに交渉したことがあるが、JESPA が公認しようがメーカー側には関係がないと断られたようなこともある。
これについては、提案が明確に伝わらなかったことなど反省点がある。
公認の位置づけを整理し、いただいた意見などを加味して再度提案して行ければよいと思う。
質問 : ゲームの権利関係については昔から問題点だと考えており、個人的にこれらをクリアにするための仕組み作りなどを行なっています。これらについて JESPA からサポートは行なってもらえるでしょうか。
回答 : 金銭的なサポートは厳しい。経済産業省に特別予算を組んでもらうことを提案したが厳しいとの答え。
人的な部分で、JESPA 事務局はボランティアに近い状態で運営されている。
ただ、手伝いは出来ると思う。
質問 : 与野党が逆転した場合に、JESPA に影響はあるのでしょうか?
回答 : 委員長の西村議員は、自民党だから委員長をしていただいているわけではない。元東大のボクシング部でスポーツに理解があることや、経済産業省に詳しいことなどが委員長をお願いした理由となっている。
与野党が逆転したからといって、西村氏以外に委員長は考えていない。
質問 : 日本 eスポーツ協会設立準備委員会はいつ日本 eスポーツ協会になるのでしょうか?
回答 : 財団法人 日本 eスポーツ協会となった時です。そのためにはお金など様々な問題がある。財団法人にならないという考えもある。
質問 : JESPA 公認のプロゲーマーになりたいという相談を受けるが、なんと答えたらよいでしょうか?
回答 : ゲームを仕事にしていく、ゲームで賞金を稼ぐなど何を持ってプロゲーマーかという線引きがしにくい。現状は、ゲームに携わる先輩として相談に乗って思いを伝えてあげて欲しい。
JESPA は、現段階ではプロゲーマーを認定する準備が出来ていない。
質問 : 大会が JESPA 公認になるメリットは?
回答 : 大会のステータス向上、告知の手助けなどが考えられるのではないか。
質問 : 日韓戦のタイトルは韓国に有利すぎるのではないでしょうか?
回答 : こちらからもタイトルの提案をしていく。5 タイトルで 3 勝 2 敗くらいで決着が付くタイトル構成が望ましいのではないかと思う。みなさんはどのようなタイトルがみたいですか?
- ストリートファイター 4
- Dead or Alive4
- 音ゲー (O2JAM など)
- レースゲーム
- スポーツゲーム
質問 : アスリートゲーマーに求めるものはなんでしょうか?
回答 : スポーツマインドを持つゲームプレーヤー。ゲームでも礼に始まり礼に終わる、といったような礼儀正しさを持ってもらいたい。
負けてキレるようなゲーマーはよろしくない。
(大会をドタキャンするような選手が最近少なくないという意見を受けて)
それは知らなかった。
実際のスポーツでは、診断書の提出、出場権停止などといった措置がとられている。
eスポーツでも次回大会に出場させないなどのペナルティを検討する必要があるのではないかと思う。
韓国では KeSPA がインタビューの受け答えの仕方やマナー講習等を行なっている。
JESPA でも今後はそのような取り組みを行なっていきたいと考えている。
というような感じでした。
資料をテキスト化しようと思ってしまったせいで書き上げるのに 1 時間以上かかってしまいました。
JESPA 公式サイトでもレポートが載ると思われるのでサイトをチェックしてみてください。