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『Into The Breach』Counter-Strike競技シーンから一時撤退、2024年末のメジャー大会に向けてチームを再構築

イギリスを拠点とする『Into The Breach』が、Counter-Strike競技シーンからの一時撤退を発表しました。

競技シーン一時撤退について

チーム代表Sam Macedonio氏が、一時撤退とチームの内情について自身のSNSで説明しました。

『Into The Breach』は2023年5月に開催されたメジャー大会『BLAST.tv Paris Major 2023』でベスト8となったチームです。

チームとしての経営は健全な状態ですが、Counter-Strike部門単独だと赤字の状態となっていることから、一時的に撤退して2024年12月『Perfect World Shanghai Major 2024』出場に向けてCounter-Strike部門の再構築を目指すとしています。

ティア2以下のチームは基本的に赤字で、実際にいくらの費用がかかっていたのかなども公開されていました。

Sam Macedonio氏のSNS投稿

Counter-Strikeロスターの支出に関するお話に興味はありますか?
透明性を好むか方が多いと思いますので、『BLAST.tv Paris Major』後にティア1入りを目指した際の内訳をご紹介します。

CS部門のスポンサー収入

  • BLAST.tv Paris Major 2023前:月17,400ドル(約257万円, $1=147.88円)
  • BLAST.tv Paris Major 2023後:月25,200ドル(約372万円)
  • 2024年2月~:0ドル

固定費(給与・コスト)

  • BLAST.tv Paris Major 2023前:月19,300ドル(約285万円)
  • 2023年5月~2024年3月:月平均57,800ドル(約854万円) ※渡航費用、スタッフ費用、ブートキャンプ、一般経費、ランキングボーナス、ロイヤリティボーナスを含む

スポンサー費用で支出をカバーすることはほとんど出来ず、別のところから収入を確保する必要がありました。

成績を上げると支出が大幅に増えますが、これに伴い収入も増加します。誤ったロスターを選定したり、選手がのプレーが悪化すると支出が収入を急速に上回るようになります。スポンサーは離れていき、他の収入を得る機会も減っていきます。

ティア2以下のシーンが不安定なのは、これが理由です。ティア1であったしても、リスクとリターンは大きなものです。

Into The Breachは2023年に大きな利益を上げることが出来ましたが、2024年がどうなるかは誰にもわかりません。組織が持続可能な成長を実現するためには、成功している時に手元資金を維持していく必要があります。そのため、Counter-Strikeから一時的に撤退することにしました。

ティア2以下のCounter-Strikeチームは、メジャー出場が決まるまでは基本的に赤字です。これはティア2以下のチームを運営する場合の原則的な事実です。

期待出来る最善のことは、給与とスポンサー収入が中立な状態となるようにすることです。私たちは選手とチームのどちらをも持続可能な状態としていくため、全てのeスポーツ展開においてこれを追求しています。

前もった計画がなかったために、突然今月は支払いができませんと言うような人間には絶対になりたくないと思っています。

PGL Major Copenhagen 2024予選前にチームの主要スポンサーが撤退し、新たなスポンサーを見つけるには時間がありませんでした。スポンサー撤退は予想外のことでしたが、成績をみれば納得です。

ロスター変更の可能性を無数に試行錯誤しましたが、うまくいくものを見つけることができませんでした。ドクター・ストレンジと契約してマルチバースも調べさせましたが、ドクター・ストレンジでも見つけることはできませんでした。そこで、チームはベンチ入りする選手をより断片的なものにしてきました。

機能する5人、ビジネス的に実現可能な5人を揃えることできませんでした。デンマークコア3人体制、ポーランド主体構成、イギリスロスターへの回帰なども検討しました。

CRUC1ALとRallenは新たなチームを見つけることが出来ると思いますが、好きなだけ時間をかけてもらってかまいません。その間もサポートを続けます。チームとして、それだけの借りがあると思っています。2人とも選手としても人としてもすばらしく、2024年以降の彼らのキャリアにとってInto The Breachが最適な場所ではないのは明らかです。

Thomas、Juve、Misutaaa、Bymasを含む6名がすでに興味を持たれており、新たな所属先が見つかり次第、発表となるでしょう。

各選手は、勝利のパズルを埋めるピースではありますが、一緒になっても上手くいかないこともあります。Counter-Strikeではこういうことが毎年1万回近く起きていて、とても難しいのです。

唯一の例外はENCEで、ENCEはまさにロスター再構築の神といえるでしょう。

Into The Breachは夏には戻ってくるつもりです。リセット・再構築している間は、Counter-Strike競技シーンを離れます。単一国籍チームでShanghai Major予選に挑むことにフォーカスしていきます。

ご注意いただきたい事として、Into The Breachの運営は良好です。豊富な現金による資金、明確な運営計画、スポンサーがあります。今回の投稿は、コミュニティのみなさんにCounter-Strikeシーンについての広い見識を持って頂きたい意図でした。

Rainbow Six Siegeは強気で展開しており、The Goose Houseも素晴らしく、Hunt Premierともアクティブに取り組みをしています。

Into The Breachが利益を上げている数少ないeスポーツ組織の1つであるのは、実利を重んじているからで、運や結果に左右される機会を可能な限り減らそうとしています。現在は、5ヶ年計画が進行中です。

Into The Breach メンバー

  • Poland Karol “rallen” Rodowicz
  • Netherlands Joey “CRUC1AL” Steusel
  • United Kingdom Thomas “Thomas” Utting
  • Lithuania Aurimas “Bymas” Pipiras
  • France Kévin “misutaaa” Rabier
  • Portugal Gustavo “Juve” Alexandre (Coach)
この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

https://twitter.com/YossyFPS/
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