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『SCARZ』VALORANT部門 メンタルコーチ導入などのチーム改革でオフライン大会優勝を達成、選手や関係者に質問を実施

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日本初のVALORANT大型オフライン大会で優勝候補たちを下して優勝した『SCARZ』VALORANT部門。選手・チーム関係者の話から明らかになったその秘密について紹介します。

『SCARZ』VALORANT部門、強さの秘密とは?

2020年10月2日(金)~4日(日)に開催された『EDION VALORANT CUP』。招待6チームによるシングルエリミネーション方式トーナメント・Best of 3形式で進行された本大会において、Japan SCARZは強豪Japan Lag Gmaing、Japan Absolute JUPITER、Japan DetonatioN Gamingを全て2-0で下し、見事に優勝となりました。

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しかし、Japan SCARZは8月20日(木)~10月1日(木)に行なわれた『VALORANT Mildom Masters』のグループステージで7チームと総当たり対戦を行ない、結果としては2勝6敗の最下位。最終日Day7には実況・Japan 岸大河氏、解説 Japan Yukishiro氏たちがチームのスタイルが変化していることについて言及していましたが、『EDION VALORANT CUP』で優勝することを予想していた人は非常に少ないでしょう。

なぜ、Japan SCARZはCS:GO時代に国内大会のオフライン大会無敗だった王者 Japan Absolute JUPITERをストレートで下すほどの強さを身につけ、最終的には優勝することが出来たのか? 『EDION VALORANT CUP』の最終日を現地取材するチャンスがあったため、この疑問をチーム関係者にぶつけてみました。

チーム関係者に聞いた、チーム躍進の秘密

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会場でお話を聞いたのは、ibotコーチ、マネージャーのWest氏、そして選手たちです。
ちなみに、ibotコーチは『Overwatch』でワールドカップ日本代表やプロゲーミングチーム所属の実績を持つJapan CLAIRE 氏のコーチ名となります。

教えていただいた話をまとめると、SCARZには以下のような変化がありました

  • メンタルコーチを導入した取り組みの実施
  • メンタルコーチの指導に合わせて、取り組み方や考え方を改革
  • 「チーム」とは何なのかを理解する
    • チームは同じ目標を持つ集まり、グループは目標を持たない集まり
  • 話し合いの上でチーム目標を設定し、達成を目指す (年内の国内大型大会優勝)
  • スケジュールをしっかりと決めて取り組みを行なう
  • 練習方法を改善
  • 自分たちでコントロール出来ないことに注力しない
  • 相手に惑わされず、自分達の考え方・プレーを信じる
  • 自分達が主体的となり、強みを押しつけるプレーをする
  • 試合中に気持ちを切り替えるための合い言葉を用意している

手越祐也さんがインタビューで引き出したメンタルコーチの存在

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一番興味深いメンタルコーチのお話ですが、自分は会場でチーム関係者の方に質問させていただいた際に、ひとまずオフレコで、ということで教えていただいていました。そして Japan SCARZが優勝し、これは絶対に紹介したいエピソードだなと思っていたところ、スペシャルゲスト・手越祐也さんの質問をきっかけに、この件が公なコメントとして明らかにされることになりました。

手越祐也「MARIN選手に聞きたいんすけど、メンタルコントロールとか、メンタルもプレーするところで大事になってくるじゃないですか。どうしているんですか? 12-11になったときも、武器の不利さがあったにもかかわらず、4枚抜き出来たりとか」

MARIN「SCARZ VALORANT部門は、実はメンタルコーチがいるんですけど、元々メンタルが強い方ではなかったと思うんですけど、うちのチームは。メンタルコーチの講義を受けて、チーム内で合い言葉を決めたり、暗くならないように、負けているときでも楽しもうぜということで合い言葉を決めてその合い言葉をきっかけに盛りあげていくという。そういうので最後は勝てたのかなと思います。」

この回答を引き出した、レディアント級のコメント力を持つ手越さん、流石すぎる質問でした。

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チームに新たな考え方や取り組み方がしっかり根付いていると感じたエピソード

以下では、選手たちの様子から感じたり、お話を聞いたことでチーム改革がしっかりと選手たちの血肉となっているなと思ったことを紹介していきます。

メンタルコーチの指導を信じ、考え方を理解して取り組んでいる

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そう感じたのは、今後のチーム目標について質問された時のMARIN選手の回答です。

MARIN「目標は、考え中です。というのも、さっきも話したんですけど、メンタルコーチのグループとチームの違いという講義があったんですけど、グループというのは何の目的も持たずに集まった5人で、チームというのは同じ目標に向かって進む5人、というような話がありまして。じゃあ、同じ目標に向かうための目標を決めようとなった時に、年内に国内の大きな大会で日本一になるというのが目標でやってきて、いまそれを達成して、また新たな目標をみんなで考えて作り直さないといけないないう風に感じているところです。」

講義で教えられた考え方がスッと出てきてわかりやすく説明しているところ、目標も単純に「次も優勝します」ということでなんとなく答えてしまうのではなく、チームとして話し合いをした上でしっかりとした目標を立てる、という考え方となっているところに、メンタルコーチの指導がしっかりと根付いていることを感じました。

折れない心

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先にチームはメンタルが強い方ではなかったと思うというMARIN選手の話を紹介しました。試合中のメンバー達は「ナイス!」という声が常に出続けていた他、劣勢になっても暗くなってしまうこともなく、メンバー同士で対策や行動についての話し合いをしており、時には笑顔が見える時もあったほどで、各選手の考え方にメンタルコーチの指導が良い影響を与えていることが感じられました。

ade選手への質問

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以下は、囲み取材の際にメンタルコーチの存在によってどのような変化があったかという質問させていただいた際の、ade選手の回答です。

ade「やっぱり、迷いが消えたというのが大きくて、その道に携わっている人なので、スペシャリストなので、その人のいう事を聞いて。たとえば自分達でコントロール出来ないことは見ずに、自分達で動かせる、たとえば、自分達のプレーをしようとすれば出来るんですけど、相手の動きを読んで対応しようとすると、それは後手になってしまうので。それはコントロール出来ないので。常に自分達の強みを押しつけていく。そういう考え方をメンタルコーチに教えていただきました。」

要は、スペシャリストであるメンタルコーチの指導を信じて、自分達で決めたことに基づく自分達のプレーをしていくことが共通認識としてプレー出来るようになった、ということかと思います。

メンタルコーチの海外プロチーム事例

日本国内でメンタルコーチを導入している事例を聞いたのは、自分としては今回が初めてでした(他にもあるのかもしれません)。

メンタルを重要視する流れは海外プロチームではすでに始まっており、Red Bull Gamingのサイトでは興味深い記事がいくつも公開されています。

合わせて以下もぜひご覧ください。

「OGのTI9優勝は、esportsが心理戦だということをあらためて教えることになりました」と話を始めるのは、The International 9でOGに帯同したスポーツ心理学者Mia Stellbergだ。

「これまで様々なesportsプレイヤーと話をしてきましたが、彼ら全員が “esportsは半分以上がメンタル” と言っています」

「フィジカルレベルが高くない時は疲労感が強まってしまうんだ。どれだけ眠っても解消できない。このように疲れを感じてしまうとプレイに大きな影響が出る」

「いくら強調しても強調しきれないけれどeスポーツはスキル50%・メンタル50%だ。メンタルも非常に重要なんだよ」

「フィジカルとメンタルの健康面を非常に真剣に捉えている人たちは、ヘルスとウェルネスがゲームプレイに与える影響について勉強しています。最近は、対戦に向けた調整方法にパラダイムシフトが起きつつあります」

「パフォーマンスには4本の大きな柱が存在すると言えます。栄養・リカバリー・メンタル・フィジカルです。この4つは最も簡単に大きな変化を加えられる要素だと思います」

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Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

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