アメリカを拠点とするプロeスポーツチーム「Team Liquid」が、所属選手の原爆画像を含むSNS投稿問題についての謝罪と、自動車メーカー『Honda(ホンダ)』アメリカ法人とのスポンサー契約終了を報告しました。
問題の経緯について
「Team Liquid」はRainbow Six eスポーツの公式世界大会『RE:L0:AD 2025』に出場し、日本の「CAG OSAKA」と対戦しました。
「Team Liquid」は「CAG OSAKA」に敗北となり、その後に「DiasLucasBr」選手が原爆の画像を含むSNS投稿を行なったことで批判が殺到していました。
後に投稿は削除され、「DiasLucasBr」選手による謝罪の投稿が行なわれました。
今回、チームとして問題についての謝罪と報告が行なわれました。
報告の主な内容
- 「CAG OSAKA」の選手、日本のファン・eスポーツコミュニティに謝罪
- 「DiasLucasBr」選手に月給4ヶ月相当の罰金を科し、慈善団体に寄付する
- 「DiasLucasBr」選手に対して再教育のプログラム受講を義務づける
- チームに所属する全選手・コーチを対象に、再度のプログラム受講を義務づける
- 『RE:L0:AD 2025』の獲得賞金全額を慈善団体に寄付
- 「HONDA Motor」との6年に及ぶパートナー契約終了を報告
「CAG OSAKA」はその後大会を勝ち進み、日本歴代最高となる公式世界大会 準優勝となっています。
チームの公式発表(和訳)
掲載元
Team Liquid Statement on Recent Social Media Post by DiasLucasBr
日本のRainbow Sixチーム「CAG OSAKA」との試合後、当チームRainbow Six部門のLucas “DiasLucasBr” Dias選手が、ソーシャルメディアにおいて侮辱的で無神経な内容の投稿を行ないました。
DiasLucasBr選手は悔しい敗戦となった後、感情にまかせて軽率な判断を下してしまいました。DiasLucasBr選手は自チームが敗北により爆散したことを表現するために一般的なキーワードでGIF画像を検索しました。
そして、自分の感情に合わせたものを選択して投稿を行ないました。その画像が、日本の歴史における痛ましい出来事と結びついていることを理解していませんでした。チームとして、DiasLucasBr選手に悪意はなく、判断と認識に重大な誤りがあったと捉えています。
DiasLucasBr選手は最初の投稿を行なった直後、「CAG OSAKA」の選手に対して不快な思いをさせてしまったことについて自ら謝罪を行ないました。「CAG OSAKA」のみなさまには、謝罪を聞き入れていただきました。投稿は悪意ある侮辱ではなく、過ちによるものであったことについて寛大な理解を示していただきました。
投稿によって引き起こされた問題が今回のこの謝罪で帳消しになるわけではありません。しかしながら、DiasLucasBr選手の過ちに対する真摯な対応、深い反省と人間性を示すものになったと思います。DiasLucasBr選手の投稿に悪意や偏見があったことが判明していた場合は、除籍処分の判断を下す方針でした。
Team Liquidは、所属選手たちにプロフェショナルとしての髙い基準を求めています。DiasLucasBr選手のSNS投稿は、その基準を満たすものではありませんでした。今回の投稿は、Team Liquidという組織や関係者の姿勢を反映するものではありません。また、世間のみなさまがDiasLucasBr選手の人間性については判断する材料であってはなりません。
私たちは過ちから学ぼうとする姿勢を見せる人物に対して、自身を改善するための機会を与えるべきだと信じています。Team Liquidは、DiasLucasBr選手が人として成長するために必要なトレーニングの機会を提供していくことにコミットします。純粋な過ちが誰かのキャリアを終わらせるものであってはなりません。
「CAG OSAKA」のみなさま、不快な思いをさせてしまったことについて、心からお詫び申し上げます。誠意ある対話、ご理解、対応について感謝いたします。
日本のTeam Liquidファン・eスポーツコミュニティのみなさま、今回の投稿がみなさまを侮辱し傷つけるものであったこと、失望させてしまったことについて私たちは重々理解しています。日本のみなさまと活気あふれるeスポーツコミュニティに対する深い敬意を表するとともに、言葉でなく行動で信頼を取り戻していことができるよう努めてまいります。
世界中のTeam Liquidファンのみなさま、当チームは様々なコミュニティや文化と関わらせていただいているため、今回のような間違いを犯すことは今後決してないとお約束することはできません。しかし、私たちは自らの行動に全責任を負い、過ちがあった場合には正していくことを約束します。
今回のような出来事の再発を防止するために、Team Liquidは以下の取り組みを実施します。
罰金・懲戒処分
DiasLucasBr選手は組織が定めるプロ意識と対応についての基準を満たさなかったため、正式な処分として月給4ヶ月分に相当する罰金を科します。また、メディア対応および感受性に関するトレーニングの受講を義務づけます。
賞金を慈善団体に寄付
Rainbow Six部門の選手達は、責任感と善意を示す行動として、今回出場した公式世界大会『RE:L0:AD 2025』で獲得した賞金全額を慈善団体に寄付することを決定しました。DiasLucasBr選手の罰金も、同様に慈善団体に寄付します。
全選手に教育と指導を実施
今後6ヶ月をかけて、チームに所属する各部門の選手とコーチ全員を対象に、再度の教育を受講必須で実施します。今後の同様な問題の再発を防止するため、DiasLucasBr選手の投稿問題は実際のケーススタディとしてカリキュラムに追加予定です。
今回の問題を受けて、チームの自動車パートナーであるHonda Motor(※本田技研工業株式会社のアメリカ法人)はパートナーシップ契約を更新しないことを決定しました。非常に残念な結果ですが、決定について理解し尊重するとともに6年間良きパートナーとして支援していただいたことに感謝申し上げます。
今回の件について建設的に向き合っていただいたコミュニティ、パートナーのみなさまにも心から感謝いたします。高い基準の期待をしていだたいていることに対して、真摯に向き合っていきます。