Dota 2世界大会『The International 2026』で、防御系アイテム「Crimson Guard」「Pipe of Insight」の使用頻度が低かった理由について調べました。
「Crimson Guard」「Pipe of Insight」の購入が減った理由
「あれ?Crimson GuardとPipe of Insightが1回も買われていない?」
本大会グランドファイナルの紹介記事を書く際に、全5ゲームのスタッツを見て一番気になった点です。
「Crimson Guard」は物理ダメージ、「Pipe of Insight」は魔法ダメージへの対策として、チーム全体の耐久力を高めるアイテムです。
これらは、チームファイトで前線に立ってダメージを受けることが多い「オフレーン」ヒーローが購入する代表的な防御アイテムとして使われてきました。
今回、全試合のスタッツデータや配信の実況解説をチェックし、「Crimson Guard」「Pipe of Insight」の購入が減った理由について調べてみました。
最初に結論を書くと、以下のようになります。
- 「Crimson Guard」「Pipe of Insight」は弱体化や素材変更によって、以前より優先度が下がっている
- マップが広くなり、5人で固まって戦う時間が減少した。ファーム中にも価値を得られて自身をスケーリングできるアイテムが優先されやすくなった
- 相手のダメージ構成や集中火力によっては、Crimson GuardやPipe of Insightを購入しても十分な対策にならない
- 一方で、相手構成に適した試合では現在も非常に高い効果を発揮するため、状況に応じて選択される
Crimson Guard
- アーマーボーナスが8→6に低下
- 基本ダメージブロックが70固定から、近接ヒーロー70、遠隔ヒーロー45に変更
- 最大HPに応じたダメージブロックが2.2%→2%に低下
Pipe of Insight
- 味方へのHP2.5回復オーラがなくなった
- 素材がHP回復効果を持つHeaddressから、魔法耐性を持つShawlに変更
「Crimson Guard」「Pipe of Insight」の使用頻度
本大会の試合データを確認し、オフレーンが購入するアイテムのトップ10を集計してみました。
| 順位 | アイテム | 購入回数 |
|---|---|---|
| 1 | Aghanim’s Shard | 222回 |
| 2 | Black King Bar | 219回 |
| 3 | Magic Wand | 211回 |
| 4 | Soul Ring | 193回 |
| 5 | Aghanim’s Scepter | 135回 |
| 6 | Shiva’s Guard | 122回 |
| 7 | Phase Boots | 113回 |
| 8 | Helm of the Dominator | 96回 |
| 9 | Bracer | 95回 |
| 10 | Perseverance | 86回 |
「Crimson Guard」は8回、「Pipe of Insight」は33回の購入でした。
序盤では「Helm of the Dominator」によって中立ユニットを味方にすることでファーム効率を上げたり、HPと回復効率を大幅にアップさせる「Heart of Tarrasque」に直行するようなビルドが見られました。
「Crimson Guard」と「Pipe of Insight」に言及する実況解説
大会の実況解説から、アイテムに関する言及を紹介します。
マップが広くなったことでのアイテムメタ変化
「ゲーム自体がUnderlordを中心に5人で固まって動くことが以前ほど重要ではない方向に変化しています。
マップが広くなったことで自然にそうなったのでしょう。
ファームしながら価値を引き出せるアイテムの方が、ほとんどの場合Pipe of Insightを持つより有効になっているように感じます。」
Crimson Guardはファーム用ではなくファイト用アイテム
「HULIGANIはTuskのブリンクを使って仕掛けていきたいところです。Centaur WarrunnerはCrimson Guardを選択しています。このビルドは早い段階で仕掛けていかなければいけません。shiroの姿をミッドで確認できます。Hurricane Pikeを持ってますね。ファームが進んでいます。」
「Crimson Guardを買ったことが裏目に出てしまっているかもしれません。いままでの時間にHeart of Tarrasqueを持っていたらもっと速くファームできていたでしょう。Crimson Guardはファイト用のアイテムです。何度もチームファイトを仕掛けようとしましたが相手を見つけられませんでした」
効果を発揮するのはケースバイケース
「さきほどの集団戦ではTeam Visionを倒し切るまでかなり時間がかかりました。NoticedはPipe of Insightを購入しています。あまり頻繁に見るアイテムではありませんが…」
「Dark SeerでPipe of Insight購入は珍しいですが、明確な利点があります。相手にはNecrophos、Underlord、Keeper of the Lightと、大量の範囲魔法ダメージがあります。ただし、BoomBoys最大の脅威であるPangolierにはまったく意味がありません。PangolierにとってPipe of Insightなんて関係ないですから。」
Pipe of Insightは大量の魔法ダメージには有効ですが、この試合で大きな脅威となっていた物理ダメージ中心のPangolierへの十分な対策にはならない状況でした。
Pipe of Insightを買うのはどのようなケースか
「CollapseはShiva’s Guardが完成間近です。まだ22分ですよ。かなりファームが進んでいます」
「ただ、この試合のディフェンス面でShiva’s Guardが最高の選択というわけではありません。Team Liquidは大半が魔法ダメージだからです。アーマーを強化する価値はそこまで高くありません。」
「非常に面白い点です。相手は全てが魔法ダメージというような構成なのに、Pipe of Insightを買おうともしていません。Pipe of Insightがもうゲームに存在していないかのようです。一体、どんな時にPipe of Insightを買うのでしょうか?」
「前の試合ではDark Seerが購入していました。購入するのは、“チームファイトを行なう時に、アイテムの防御性能が最も重要になるか”というような判断の結果になると思います。効果を発揮しないのであれば、Pipe of Insightを持っていても仕方がありません。」
「Crimson Guard」と「Pipe of Insight」は無力なのか
「Crimson Guard」と「Pipe of Insight」は無力ではなく、ドラフトでの相手構成や試合状況に応じて購入される形となっています。
実際の試合でも、アイテムが効果を発揮しているシーンがあります。
アイテムが無力となったわけではなく、効果を発揮するケースに合わせた限定的な購入となっています。
Crimson Guardが効果を発揮したシーン
「Whisperはいつもと少し違うビルドです。Drow RangerとSlardarがいるので、この試合はCrimsonが効果的でしょう。それにXGは魔法ダメージのリソースがほとんどありません。」
「Whisperに対して飛び込みたいところですが、行かなそうです。Crimsonでかなり硬くなっているので、倒すなら全てのスタンをつなげる必要があります」
「Crimsonを買ったのは非常に良い選択だったと思います。Crimsonの存在が飛び込みからの仕掛けを難しくしています」
「通常、Centaur Warrunnerはこういったアーマー重視のビルドは選択しません。Helm of the DominatorからHeart of Tarrasqueの購入を目指すのが一般的です。今回はCrimsonを購入したことで、SlarderのCorrosive Hazeを軸とした攻撃や仕掛けを完全に封じ込めることができています。」
『Dota 2』はメタと知識の更新が必要と改めて認識
自分の場合、相手構成に合わせて「Crimson Guard」(もしくはVangard)や「Pipe of Insight」を買うのはオフレーンの基本という固定概念を持っていました。
ランクマッチをプレーしている際、オフレーンが「Crimson Guard」や「Pipe of Insight」を買わないことがあり、「なんで?」と思ったことが何度かありました。
今回調べたことで、現在のメタやゲーム展開に合わせたアイテム選択の変化であることを理解できたほか、『Dota 2』はメタと知識の更新が必要と改めて認識しました。













